【歴史小説】『苻堅と王猛』小前 亮 著
『苻堅と王猛』小前 亮 著 祥伝社文庫
こんにちは、ほんのよこみちです。
中国史を再勉強しようと思い立ったものの、五胡十六国の時代で躓き、この本を手に取りました。
秦(前秦)の名君・苻堅と、彼を支える軍師・王猛が活躍するお話です。
歴史小説って、結末が大体わかって読んでいるので、重かったですね~。
苻堅は理想を掲げ、民族の垣根を超えた平等で豊かな国を目指して、中国統一を図ります。
彼が善政を行っているのはわかる。王猛がそれを助けてるのもわかる。
ただ、学校で習った歴史には、彼らは英雄として書かれていないんですよね~。
小説ですので、もちろんフィクションです。
でも、あったかもしれないと想像させる物語です。
重いです。苦しいです。泣けます。(泣いてないけど)
この本を読んで、五胡十六国時代とはどういう時代だったのか、あらためて考えさせられました。
裏切りや暗殺が日常的な時代。
他者を出し抜かなければ、生き残れない時代。
しかし栄華も一時、いつ失脚・処刑されるかわからぬ時代。
現代日本に生きる私には、とてもやっていけない時代です。
ただ。
苻堅はなぜ天下統一できなかったのか。
それを考えることが、現代に生きる我々の「宿題」のような気もしました。
異なる民族も平等にと言いつつ、民族主義を煽ってしまった苻堅。
善人であるがゆえに、他人の気持ちを想像できなかった苻堅。
名君を目指したがゆえに、自ら規律を乱してしまった苻堅。
王猛という名軍師を得たがために、その才に頼ってしまった苻堅。
歴史小説をビジネスの手本みたいに読むのは、本意ではないのですが、全部ビジネス問題にあてはめられるよなあ……なんて思ってしまいました。
ま、作者の小前さんは、1600年前の人ではなく現代人なので、そう読める書き方をされているのかもしれませんが。
実は、この本を読むまで、しばらく歴史小説は読んでませんでした。
でも、やっぱり面白い。
時代や国は違っても、みんな、幸せになりたいだけなんだよな~。
読んで、知って、味わって、考えて。
幾通りもの楽しみ方ができる本です。