【科学】『人間と機械のあいだ 心はどこにあるのか』
『人間と機械のあいだ 心はどこにあるのか』を読みました。
人工生命研究がご専門の池上高志氏と、ロボット研究がご専門の石黒浩氏の本です。
お二人が2017年に「機械人間オルタ」を開発された、そのことを中心にとらえながら、「人間とはなにか」、「生命とはなにか」を、論じられています。
と書くと、なんだか難しそうですし、正直言って、文系の私には、??な部分も若干あり、その都度ウィキで調べて、それでも?だったりした部分もありますが。
でも、全体的には、一般向けに書かれた本だと思います。
オルタの写真も掲載されてて、かわいいのです♡
(あ~、見に行っておけばよかった~)
この本の構成も面白くて、前半が石黒氏、オルタについての対談等を挟んで、後半が池上氏となっており、章立ての項目も鏡写し。
石黒氏は、アンドロイドの見た目から人間とはなにかを考えられ、池上氏は、生命の仕組み的な部分から、生命とはなにかを考えられています。
それぞれ論じられるうちに、物理学とか生物学とか数学やなんかが入ってきます。
もちろんテーマ的には哲学です。
読んでいると、人間の感覚というのがいかにあてにならないか、いい加減かというのが、よくわかります。
そんなんで、よく「人間様」的にふんぞり返っていられるわ~。
(「シューレティンガーの猫」とか、人間の考えることじゃねえっ!)
と同時に、生物のシステムの良さとか、人間の脳とコンピューター(というかネット世界)の酷似も論じられていて、生命としての人間の等身大を知れた気分。
「不快」な思いをしないようにするのは、生物の基本的な仕組み……と言われれば、やっぱりやりたいことをしているのがいいんだ~、と思ってしまうし。
神経細胞の動きとコンピューターの動きが同じで、AIがいずれ人間を超えるのなら……人間はどう変わるべきだろうか、と考えてしまうし。
なんか、この本の面白さをぜんぜん伝えられてない記事ですが、「わからないこと」を「読みながらいっしょに考える」ことが楽しかったです。
わかりやすい本ばかりじゃ、つまらない!
アンドロイドと人工生命の世界へ、ちょっと出かけてみませんか?
日常の一歩先へ広がるファンタジー(素人の私にはそう見えました)。
その次の一歩も踏み出したくなるような、面白い本です。