『絶望名人カフカの人生論』を読むと、カフカの父親が毒親だったから、あんな自己肯定感のない息子が育ったのかと絶望する?
こんにちは、ほんのよこみちです。
実は私、カフカの熱烈なファンという訳ではありません。
『変身』とか『流刑地にて』とかは、傑作だと思いますけど、あの重苦しい感じに挫折することしばしば。
『城』なんて、冒頭で逃げ出しました(苦笑)
この本も、精神的に疲労が溜まっていた時に買ったんですが、ほかの本を読んでいるうちに元気になっちゃったりして、まあいっかと棚に挿したままだったんですね〜。
それが今回、読む機会できたのですが。
うわぁ、カフカって、毒親に苦しむひきこもり青年だったんだぁ……。
自己肯定感がないにもほどがあるというか、勉強もできない、仕事もできない、人づきあいもできない、小説もうまく書けない……って、どの口が言う? ですよ。
別の本『カフカ ポケットマスターピース 01 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)』で、カフカが保険会社で働いていた時の報告書を読んだことがあるんですが、すごく仕事のできる人の報告書だと思ったんですよ。
理路整然としていてわかりやすいし、問題提起から改善策とメリットの提示まで、労働者にも経営者にも、WinWinになるよう整理されている。
こういう仕事のできる人なら、さぞかし職場では活き活き働いていただろうと思えるのに、当の本人は嫌で嫌でしょうがなかったなんて!
人づきあいに関しては、確かにめんどくさい人みたいだったので、そりゃ友だちは少なかろうと思いますが。
それでもカフカの死後、彼の遺稿を出版しようと奔走してくれた友人がいてくれたからこそ、今日の私たちがカフカの存在を知ることが出来るわけで、それを考えたら、すごくいい友人に出会えて良かったじゃん、と言いたいんですよね。
カフカをこんなめんどくさい人間にしたのは誰か? って、多分、父親なんですけど。
読むと、確かに虐待親父と言えそうです。
ひ弱な息子に対して、常に否定的。
でも。
自分は学力に恵まれなかったから、苦労した。子どもには同じ苦労をさせたくない。……って、どこの親でも思いますよね?
自分は苦労したけど頑張って生きている。子どもには、自分の頑張ってきた人生観は共有して欲しい。……って、どこの親でも思いませんかね?
そういう親の思いからくる言動が、我が子に対するモラハラになる……なんて言われた日には、多くの親が毒親予備軍になってしまいませんかね?
これはすごい警告です。
と同時に、もうしようがないじゃん、って開き直るしかないことも示唆してます。
生きている以上、良かれと思っていても、親は毒を吐く。
子どもに罪は一切ない。
子どもは、本人が思っている以上に、素晴らしい。
それが納得できないなら、書けばいいじゃない? 創作を⁉
私の実親も、毒親の部類に入る人で、多分私も、子どもたちから見れば毒親の部分があるでしょう。
それを見つめることは、とても苦しかったです。
この本が、今苦しんでるあなたに寄り添うものであれば良いのですが。
失恋した時は、失恋ソングを。
絶望した時は、絶望名人の言葉を。
カフカの仕事ぶりがうかがえるのはこちら↙