『縄文時代史』は縄文学習の入門書ですね(^^♪
『縄文時代史』を読みました!
すごく面白かったです!!
この本は、縄文時代の前の旧石器時代から、草創期~早期、前期、中期、後期、晩期にかけて、そして日本に稲作が伝わったくだりについてまで、書かれています。
なので、素人がひととおり学習したい! と思った時の入門書ですね。
確かに、時代区分とか遺跡名とか土器の型式とか、次々と並べ立てられてもおぼえきれないよ~! というのはあります(^_^;)
それどころか、石器の種類の読み仮名がおぼえらんない(;´Д`)
石鏃(せきぞく)……とか、敲石(たたきいし)……とか、日常会話では使いませんからねえ~。
それはさておき。
そういう細かい専門用語をとりあえず置いといても、研究結果をざっと通して読むことに意義はあると思います。
ここまでわかっているのか~! と感動しました。
例えば、狩猟採集民族の縄文時代人ですが、堅果類(ドングリとか)は栽培していたとか。
竪穴式住居の集落をつくって生活していたわけですが、さらにその上部組織ともいえるムラ社会があっただろうとか。
火山灰に覆われた土地柄ゆえに、畠作には向かず、狩猟採集の不安定さと常に向きあわざるを得なかったとか。
稲作が入ってきた紀元前1000年頃は、世界的な寒冷期で、中国では殷が周に変わり、その余波で中国からの移民が朝鮮半島に入り、また朝鮮半島南部の人たちが九州北部に渡来したとか。
学校の教科書にはない面白さがあります。
歴史って、暗記モノじゃなくて、思考する学問なんだってことが、再認識できます。
上に並べた歴史事項は、確かに研究結果として得られた通説かもしれないですけど、遺跡を丹念に調べることで、縄文時代人の行動を推測する、だからこそ見えてきたものですから。
その推測過程を読むのが、面白い。ミステリーみたいで。
現場検証に立ち会うかの如く、気分は縄文時代人になって読めます♫
また、読んでいるうちに、著者の考えに疑問が出たり、違う意見を思いついたりするのも、楽しい。
この本の著者の勅使河原彰先生は、研究者だからなのか、わりときっちり区分訳されることにこだわりをもたれている印象があります。
例えば、縄文時代はいつから始まったのかとか、堅果類栽培は農耕に入るか否かとか、縄文時代は本当に平等社会だったのかとか。
私はどの問題も、ゆるゆるとあったようなないような状態でもいいじゃん? と思うのですが、勅使河原先生は、きっちり論理的に答えを出されています。
なので、別の研究者の方の本を読む楽しみが増えますね。
この本を手にとっていただければわかると思うのですが、参考文献や索引もきっちり表記されていて、ちゃんとした本であることがうかがえます。
まあ、だから私もこの本を手に取ったんですけど。
縄文時代の人々の暮らしをあらためて見つめてみて、昔の人々も我々と変わりないし、平等社会といいつつもいじめとかはあったろうし、でも、気候のちょっとした変化で集落を維持できないとか、そういう過酷さがあったことは、やはり怖くなりました。
だって、我々も同じ火山列島の上に暮らしているわけですから。
稲作導入だって、これでみんなが死なずにすむ! という思いは当然あったでしょうに、結果、貧富の差や戦争を生み出してしまう。
縄文時代は、決して楽園などではなかったのです。
少しでもましな生活ができるように、過去の人々が考え抜いてきた結果が現代ですから、我々も考えていく必要があるんですよね。
このくにで生きていくことは、どういうことなのかを。