ほんのよこみち なブログ

元不登校の高校生と、ひきこもり→就労準備中の子を持つシングルマザーが、このくにで生きることを考えながら、本と好きなことを語ります。

『「閉じこもり」から抜け出すには』を再読したら、すごく内容てんこ盛りの良書だったことを再確認する

 

『「閉じこもり」から抜け出すには:不登校・ひきこもり・出社拒否のカウンセリング』を再読しました。

 

 

この本は、上の子が不登校・ひきこもりになった後、最初に読んだ本ですから、出版時期は2010年とちょっと古いです。

それでも、内容は全然古くないですし、斎藤環氏の『社会的ひきこもり―終わらない思春期 (PHP新書)』よりは新しい!

というくらい、この問題が簡単に解決できるものではない、と物語っているのかもしれませんが。

 

 

この本の著者である前川氏には、斎藤環氏のような派手さはありません。

また「閉じこもり」と表現することで、社会的ひきこもりと区別した精神的ひきこもりのような状況を対象とされているように見られます。

前川氏はカウンセラーとして本を記されていますが、ご自身も苦悩とともに歩んでこられrたようで、その文章には距離の近さを感じます。

それは、後半の「どうすれば閉じこもり状況を改善できるか」という読者が読みたいことに対して、自己啓発書的な内容までも含まれていることにあらわれています。

この人も同じように悩んであがいている! という親近感と安心感。

呼吸法、なんて、精神科医は書きませんわな。

 

 

「閉じこもり」の家族がとる対応策としては、基本的には「本人の意向を尊重する」です。

 それも、岡本茂樹先生の本を読んだ後では、すっと入ってきます。

 

honno-yokomichi.hatenablog.com

 
honno-yokomichi.hatenablog.com

 

やっぱり、いろいろ読んだり考えたりすることは、無駄じゃありません。

5年くらい前に初めて読んだときは、やはり自分の子育てのまずさと向き合うのはしんどかったし、「こんなもん?」っていう感じで良書という認識は薄かったです。

今なら、「ああ、これはこういうことか!」とわかる部分が出てくる。

人間って、自分はどうしてもらいたかったのか、という感情と向き合わないと、前にすすめないんですよね。

 

 

確かに、自分で自分に駄目出しをするのは、辛いことです。

誰だって、自分の子育てに問題があったなんて認めたくはない。

でも、子どもの環境をつくるのは、家族なんですよね。

非、というのではなく、自分の作った家庭は、たまたま我が子には合わなかった、そう考えて、我が子に合うように改善するしかない。

 

 

自分の親も完璧ではなかった、と心当たりのある方、結構いらっしゃるのではないでしょうか。

子の立場として、親に言いたいことの一つや二つ、あったとしてもおかしいことじゃありません。

人間ですからね。

頑張ったことを褒めてほしかったとか、他の子と比べないでほしかったとか。

思いつくまま、書き出してみて下さい。

そして、なぜ親はそれをしてくれなかったのか、考える。

仕事と家事で忙しかったとか、実は親自身も褒められたことがなかったのかもとか。

そういう連鎖があるのも、人間関係問題の特徴ですね。

 

 

だから、自分の子育てが完璧じゃなくったって、当たり前。

たがら、自分の子どもが何を望んでいるのか、を考えることが必要なんですね。

親が望むような子ども像をあてはめるのではなく……。

 

 

私は、上の子が不登校になって、いろいろ学ぶことができて、それまでと違う視点で物事を見る機会が得られて、本当にラッキーだったと思っています。

心理学とか、構えた学問はできていませんが、人間とか子育てとかについて知るチャンスは増えたので、自分も成長できるし、毎日が楽しいです。

 

 

というと、なんかすごく子育て中心に人生を回しているように見えますが、もちろん仕事もしていますし、下の子には小学生の頃から、自力で適応指導教室には通ってもらってます。

親が送り迎えをしなきゃいけないフリースクールでは、生活が成り立たないのでパス。シングルですから。

 

 

実は昨年まで、別名義で文章書きの同人誌活動的なのもしていたので、年2回、文学フリマにサークル参加していたりもしました。

だから、子どもたちが似たようなことをやるのも理解できますし。

好きなことがあって活動するって、親にも必要なことですよね。

じゃないと、親も閉じこもりになってしまうので。

 

 

もちろん、子どもが嫌がることはしない主義なので、ひきこもり家族会には現在参加してません。

なぜ嫌がるのか、突き詰めていけば、家族会で仕入れた知識を子どもに試そうとする、それが嫌だということなんですね。

その子その子で違うはずなのに、誰かの成功体験を自分に押し付けようとする、それは嫌でしょうね。

子どもが欲するのは、親が他でもない自分と向き合ってくれることなので。

 

 

子どもの底なしの要望と付き合うには、プラスのエネルギーが必要です。

だから、愚痴の言い合いみたいな会合では、エネルギーが足りません。

親は、自分でそのエネルギーを充填していかないといけないので、プラスのエネルギーがあふれることをしましょう!

というような内容も記されているので、この本は子育てに疲れている親向きだと思うのです。

自分にも人にも暖かく、愛情をもって生きられるようになるために。