ほんのよこみち なブログ

元不登校の高校生と、ひきこもり→就労準備中の子を持つシングルマザーが、このくにで生きることを考えながら、本と好きなことを語ります。

【豊田直巳写真展 叫びと囁き フクシマの7年間〜尊厳の記憶と記録】を見て、我々は死の隣人であることを思い出す。

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こんにちは、ほんのよこみちです。

Twitterでも取り上げさせていただいた、豊田直巳さんの写真展に行ってきました。

 

30日まで、大田区大森のエセナおおた1Fでやってます。

JR京浜東北線大森駅東口から徒歩8分です。⤵

大田区立男女平等推進センター【エセナおおた】 - 地図・交通案内

入場は無料ですし、とても見やすかったです。

上の画像は、入り口にかけられていたもので、建物の中に入ったら、まず見えます。

目印にして下さいね。

 

 

それで、問題の写真展ですよ。

見始めてすぐに、自分は何を求めてここに来たんだろう? と、不安になってしまいました。

動機はただ一つ。

新聞でも取り上げられていた、忖度されそうになった写真の現物を見たかったから。

確かに「原子力 明るい未来の エネルギー」という標語の取り壊し作業をされている前でカードを持つ、作者ご夫婦の写真は、忖度されずにそこにありました。

大田区がいろんな抗議を恐れる体質にある、というのは今に始まったことじゃないんですけど、今回は良識あるご判断で良かったと思います。

 

 

なんですけどね。

「ああ、よかった、ちゃんと展示されてて」で終わっていいのか?

それ以外の多くの写真に、おまえはどういうふうに向き合うつもりなのか?

「かわいそう」とか「だから原発はだめ」とか、そういう安っぽい同情に簡単に流されるだけで、いいと思っているのか? と。

 

 

当時、津波電源喪失して、メルトダウンをおこしたとき、原発の賛否について、ネット上でもすごく意見が交わされていましたね。

その中で「縄文時代みたいな生活は嫌だから、原発は必要!」と言う人がいて、とても印象的でした。

原発が爆発したら、縄文時代もなにも、生活基盤はおろか生命まで危うくなるのに、一か八かの大博打を打ってでも現状の生活レベルに固執するとは!

 

 

しかし、写真の中のフクシマの人々を見ていると、そういうよそ者たちの議論を突き放すような、圧倒的な現実を突き付けられるんです。

東京もんは何も失っていない。

ただ、かわいそうな人たちとして、フクシマの人々を眺めるだけ。

そんなんでいいはずないだろう!

 

 

1枚ずつ写真を見ていると、一面に積み上げられた黒いフレコンバッグの山が、飛び込んできました。

広いスペースを埋めるその黒い物体の中身は、国の除染作業で出た汚染土です。

傍らで作業する人たちを、刻々と被曝させているモノです。

除染の効果はかなり怪しいのに、国は作業を続けさせることで、新たな被曝を生み出し続けているようです。

 

 

私には、おびただしい数の黒いフレコンバッグが、そのまま死体の山に見えました。

そこに書かれた「遮」の白い文字が、骸骨に見えました。

あの震災以降に亡くなった方たちの無念さが、かたちを変えてそこにあるように思えました。

どこにも逃げ場のない、仮仮処分場。

震災は、今もそこにある。

 

 

この写真展は、全国を巡回しているようなので、あなたのお近くにもいくかもしれません。

詳しくはFacebookで……とのこと。

私のようにFacebookをほとんどやらない者もいるので、できればTwitterで情報公開して欲しいなあと思うんですけどね。

ちなみに写真集は以下参照下さい。

 

 

それでも「ふるさと」(全3巻セット) (写真絵本シリーズ)

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フクシマ元年

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フォト・ルポルタージュ 福島 原発震災のまち (岩波ブックレット)

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TSUNAMI3・11: 東日本大震災記録写真集

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