文月悠光さんも書かれている『小辞譚 辞書をめぐる10の掌編小説』は、バラエティーに富んだ興味深い本です。
ほんのよこみちです。
『小辞譚 辞書をめぐる10の掌編小説』を読みました!
文月悠光さんが書かれているから、という理由で買った本ですが、個人的には「はじめましてm(_ _)m」な書き手さんがほとんどで、冒険気分で読みました。
私は普段、アンソロジーってあんまり読まないんですけど、意外といいですね~。
「辞書」という題材をいかに小説にするか、みなさんの工夫が面白いですし、新しい発見も多々ありますし。
時に、苦手な作風にも挑戦できますし(^_^;)
ほかの作品も読みたくなる作家さんを見つけられるのも、嬉しい。
文月さんが書かれていなかったら、そして双子のライオン堂さんに1冊だけ残っているのでなかったら、多分手に取らなかったと思うので、ホント、読めて良かったと思います。
で、以下、ネタバレをちょいちょい拾っちゃうかもしれない、感想いきま~す!
【制服の神さま】文月悠光さん
辞書の中に潜っていくような、不思議な感覚の青春小説。
作品世界の言葉との向き合い方が立体的で、勉強になります。好きです。
【辞書に描かれたもの】澤西祐典さん
読みながら、ジブリの『耳をすませば』を思い出していた。違うか。
でも、子ども時代の甘酸っぱさが切なくて、上野くんの生真面目さが逆に心配です。
【或る騒動】小林恭二さん
純文学+歴史+ミステリー+風刺。
軽んじられていた者が、実は一番曲者だったという……。
作風としては、一番私の馴染み深いジャンルで、面白かったです。
【レキシカントは言霊生命の夢を見るか?】中川大地さん
タイトルが示すとおり、サイバーパンクでした。私はサイバーパンクを前に討ち死にした1980年代SFファンだったので、頑張ってくらいついていきましたよ(^▽^;)
出てくる用語に振り回されつつも、読後感は「面白い」という不思議な小説。
【無頼漢、直治伝。】三遊亭白鳥さん
日本文学→スティーブン・キング→菊地秀行……(読書幅が貧弱ですみませんm(_ _)m……)
辞書がどこに出てくるのかと思ったら!
【引っ越し前】藤谷文子さん
エッセイ風→ミステリー・ギャグ?→スティーブン・キング……(^_^;)
トイレ怖い、トイレ怖い、トイレ怖い、トイレ怖い、……トイレの前にモノを置くのはやめましょう、という教訓。
【やきとりらしさ】木村衣有子さん
“「平等」というものはつくづく美しさとは無縁だなあ、と実感せざるを得ない。”
上記の文章が、とても気になりました。辞書・超小道具派。文章が好きです。
【辞書ラブ】加藤ジャンプさん
辞書が、これでもかというくらい話の中心に来ている。
いかにもありそうな話といそうな主人公のへこたれなさに乾杯!
【触れる】小林紀晴さん
子どもを保育園に連れていくはじめての日! この不安と緊張と焦りは痛いほどわかるので、辞書が掠る程度の出演でも、応援せずにはいられない!
【祖父のルーペ】藤谷 治さん
主人公と同じく、私も50を前にして「成熟」ということを考え始めていたのですが、握手を求めるには自分が未熟すぎて、あらためて小説に対する信頼感を得られた作品。
普通に面白かったです。
以上!
ということで、ネタバレ拾っててすみません(^▽^;)
小さな出版社さんの本なので、どこの本屋さんにもある本ではないと思います。
個人的には、買って良かった本なので、興味のある方にはおすすめしたいなあと思います。