最果タヒさんの『もぐ∞(もぐのむげんだいじょう)』を読む
最果タヒさんの、「食べる」をテーマにしたエッセイ集です。
刊行当初、気になってはいたんですが、手を取ってなかったんですよね~。
個人的なことなのですが。
私、「食べる」ということがあんまり好きではないのです(苦笑)
これも、昭和の「絶対に残してはいけない」という食育のせいですね(笑)
毎日、昼休みは居残り給食……とか、全員が時間内に給食を完食できるよう連帯責任とか、もう地獄でした。
だから今でも、人様とご飯を食べるのって、すごく緊張して味を楽しむ余裕とかないんですよ~。
余談はさておき。
この本は、まず見た目がすごくかわいらしいのでした。
表紙のイラストやデザインがまずかわいい。
本のサイズが、普通の四六判より少し小さくて、手になじむ大きさでかわいい。
ページをめくると、各章の扉に枠が描かれていて、その枠がかわいい。
そして肝心のエッセイですが、さすが最果タヒさんです。
食レポ的な文章を予想した私は、どこまでいっても凡庸なにんげんでありました。
期待の斜め上を行くような最果タヒさんのエッセイは、食から人生や世界を考えたりしていて、どこまでも面白いのでありました。
最果タヒさんの文章は、とてつもないパワーを持っていると思います。
この方の本を読むと、思考とか文章とかが「最果タヒ化」してしまう。
そのままの状態で詩を書いたりすると、「偽物じゃん」みたいになってしまうのですが。
それでも、自分とは違う人の思考で、自分の日常を見つめてみると、新たな発見があったりして、さらに楽しめたりするんですよね。
「たいしたことない日常」も、最果タヒさんふうにとらえたら、結構面白かったりして。
そういう意味でも、最果タヒさんは目が離せません。
大好きです。