【生物】『ニホンオオカミは消えたか?』を読む
こんにちは、ほんのよこみちです。
世の中は猫ブームで、犬派か猫派か……と問われたら、私も猫派です(笑)
ですが、狼にはちょっと憧れがあります。
絶滅してしまった、と思っているからかもしれませんね、ニホンオオカミが。
オオカミにいろんな種類がある……というのは、頭ではわかっていました。
でもなんとなく、オオカミ=ニホンオオカミ=ハイイロオオカミ……のような気がしていました。
アニメとかのイメージから引きずられているのでしょう。
実は、国立科学博物館で、かわいらしい犬サイズのニホンオオカミの骨格標本と剥製を、見たことあるんですけどね(苦笑)
脳内操作で、「それはそれ、これはこれ」と、割り切ってたとしか思えない……。
この本は、ニホンオオカミの謎を追いかけ、ニホンオオカミの生存を信じ、そしてついにニホンオオカミに出会ってしまったジャーナリスト・宗像充さんの、ニホンオオカミとニホンオオカミを愛する人たちに対する愛情あふれる本です。
ニホンオオカミは絶滅していない、と信じて追いかけている人たちの熱量はすごいです。
実は、読み始めたころ、少々腰が引けてしまうこともありました。
ですが、ニホンオオカミのことを何一つ、私はわかってなかったんだ……と気づくと、逃げてはいられませんね~。
調べもせずに、適当なことを言うのは、無責任ですから。
ニホンオオカミの目撃談は、実は全国でいろいろあるようです。
その証拠となる写真の鑑別が、タイプ標本とよばれるオランダのライデン王立自然史博物館にある剥製と、外見を比べること……みたいなんですね。
結構、古典的な方法です。
その上、そもそものタイプ標本が、本当にニホンオオカミの姿を正確に復元しているかどうかも、実は誰も証明できないという恐ろしさ!
この本では、ニホンオオカミ研究史についても言及されてますが、びっくりするくらい貧弱な印象です。
そもそも江戸時代までは、オオカミ研究なんて眼中になかったでしょうし。
明治時代にどんどん頭数が減っていって、気がついたら姿を見なくなっていた。
オランダのタイプ標本だって、シーボルトさんのおかげで存在するんですが、これも、当時の人の人間的弱さが邪魔をしたりして、その後の研究を混乱させるような事態を招いた……という憶測が出るほど。
国内にもニホンオオカミの剥製が3体あるんですが、タイプ標本とは「なんか違う」……。
考えてみれば、剥製を作った人も、それを研究している人も、誰もニホンオオカミをよくわかっていない。
古生物学とはそういうもの、かもしれないですが、なまじ近種のタイリクオオカミやイヌが現存している為、そちらに引きずられてしまうのが人情というもの。
恐竜だってそうでしたけど、よくわからない生物の模型を復元させようとしたら、思い込みで間違った形にしてしまうこと、ありましたよね。
重要なことはわからないことを知ろうとする姿勢であり、「わからないものはわからないままにしておく」勇気だろう。
この本に、そう↑書かれているんですが、その潔さに打たれました。
勿論、プロ研究者ではなくジャーナリストだから、言える言葉なのかもしれません。
でも、わかったふりして、自分の主張をごり押しするために、状況証拠を集めて、ぐいぐい行く……そういうのってどうなんだろう……。
私は苦手です。(え?お前がそれ、やってるだろう?って⁈)
この本は、ニホンオオカミは絶滅していない派の本ですが、印象としては、ここで結論を急がずに……という感じですね。
目撃者は何人もいる。
でも、ニホンオオカミも、実は2種、3種といたかもしれない。
いたかもしれないけれど、情報が少なすぎて調べられない。
だから「わからない」。
我々は受験戦争の影響から、すぐに正解を求める癖がついてしまっています。
ここらで少し、正解のない問題を考えてみてもいいのかもしれません。
ニホンオオカミの個体数を激減させたのは、我々日本人です。