『海獣の子供』は、圧倒的な美しさと人間と言葉の無力感を味わう、とても濃厚な映画でした。
ほんのよこみちです。
『海獣の子供』を観てきました!
すごく、面白かったです!
この映画は、非常に濃厚な作品なので、ご覧になられた方なりの解釈というのがあるように思われます。
ネット上にも、いろいろなご意見が上がっているようですが。
私なりの感想を、なるべくネタバレしないように書かせていただきますね。
(でも、ネタバレ踏んじゃったらすみませんm(_ _)m)
圧倒的な美
この作品は、とにかく美しいです! 圧倒的な美しさです!
写実的な美にとことんこだわり、それでも主人公・琉花のスニーカーの描き方なんかで、彼女のちょっと浮いた感じも表現している。
夜空や海の中のシーンもですが、とにかくもう情景が美しくて、打ちのめされるくらいです。
自分はこれまでいかに美というものに無頓着であったか。
本当に、とても美しい絵のアニメです。
琉花や海獣の子供たち・海と空の目が、とても大きくデザインされているんですよね。
これも、視覚を重視するという姿勢かなあと思います。
また、アニメやイラストでは敬遠されがちな鼻の孔も、逃げずに描かれています。
鼻の孔すらも美しい。
連れて行った下の子は、主線の色に注目していましたので、絵描きさんが見ると、もっと専門的な解釈をなさるんでしょうね。
でも、絵の素人から見ても美しさはわかるので、これはぜひ見ていただきたい作品です。
哲学的なメッセージが多い
物語としては、部活でつまずいた琉花が、父親の働く水族館に来て、海という不思議な少年、そして海の兄・空と出会い、新しい体験をしながら「祭り」と言われるときを迎える、まあそんな内容です。
空と海は、海の中で育ったため、普通の人間とは違う感覚をもっており、ゆえに口にするセリフがことごとく哲学的だったりします。
印象的なセリフが出てくると、「これがこの映画のテーマ?」と思ったりしてしまうのですが。
セリフは単なるセリフではなく思考なんですよね、子どもたちの。
なので、思考は思考を呼び、連なり、群発し、自分がいかに何も考えていなかったかを、思い知らされました。
多分、この辺で、テーマを追おうとして、右往左往してしまう方、いらっしゃるんじゃないでしょうか?
はい、私がそうでした。
哲学的な言葉で、言葉の力を示しながらも、最後は言葉の無力感に到達する。
もう、とても濃厚な2時間が味わえます。
観終わったとき、世界が愛おしく思える
映画を観終わって、日常世界に戻ったとき、私はちょっとこの世界が愛おしく思えました。
汚かったりごみごみしていたりするこの街も、美しさでもって描けば、『海獣の子供』の世界のような美しい街であるのかもしれない。
舞台が江の島で、新江ノ島水族館も行ったことがあるので、なおさらそう感じたのかもしれません。
江ノ水(新江ノ島水族館)の大水槽も確かにきれいで、江ノ島の海も圧倒的だったけど。
(注:私は瀬戸内海を見て育ったので、向こう側がぼんやり見える箱庭みたいな海が、意識の根底に刷り込まれています)
世界は美しい=愛おしい、という目で、すべてを受け入れることこそが、必要なんじゃないでしょうか。
見たくないもの、受け入れがたいもの、それらは確かにあるけれど、目を瞑ってしまえば、何も知らないのと同じ。
日々の反省も含めて、そう感じました。
この映画は、本当に良かったので、おすすめしたいです。
なんか、難しそうな作品という印象の記事になってしまった感はありますが、論理的思考(数学)の苦手なうちの子も楽しめたようですし。
ま、映画って、自分仕様で楽しめれば、それが一番なんですけどね。
圧倒されるという体験も、なかなか面白いと思いますよ。
この映画に携わって下さったすべての方に、感謝したいと思います。
そして、この記事をここまで読んで下さった方に。
ありがとうございました。