ほんのよこみち なブログ

元不登校の高校生と、ひきこもり→就労準備中の子を持つシングルマザーが、このくにで生きることを考えながら、本と好きなことを語ります。

『て、わた し第4号』を読んで考える、自分たちの使っている言葉について。

ほんのよこみちです。

先週読んでいたのに、記事にするのが止まってしまっておりました。

なんでしょうかね、時間の過ぎるのがとっても早いんです(^^;)

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ということで、『て、わた し第4号』を読んで考えたこと、もろもろです。

 

 

・瀬戸夏子さん。

詩、川柳、短歌と書かれているんですが、最初、私は気づかず全部詩だと思って読んでしまいました。

でも、不思議なことにあまり違和感のない……でも、難しくもとても面白い作品だと思いました。

いえ、あらためて読み直してみると、詩「千年依存」が面白く、川柳と短歌は私の理解力を超えたところにある作品で、でも言葉の使い方が興味深かったです。

 

・yaeさん。

エッセイと詩。在日韓国人というとこにまつわる作品で、とても興味深かったです。

私も知人に在日韓国人の方いらっしゃいますし、そういう戦時中の強制連行・移住者の子孫以外の、在日外国人の方の知り合いもいます。

今も隣国との関係は良好とは言い難く、yaeさんをはじめとする在日の方の心中はいかばかりかと思います。

個人個人でおつきあいすると、確かに文化の違いによる意見相違に気づく部分はありますが、でも日本人同士だって生まれた地域が違えば常識も変わるし、ぶつかることもあります。当たり前のことです。

このくにでなぜか攻撃対象になってしまう隣国にルーツをもつ方々は、このくにで生きていくことにものすごく気をつかってらっしゃいます。

yaeさんの作品を読むと、通名を使っていた同級生を思い出し、お一人お一人の思いをもっと受け止めたいと思うのでした。

 

エミリー・ジョンミン・ユンさん。

・釜山生まれでカナダに渡った詩人さんだそうです。

作品内で、関東大震災後の朝鮮人虐殺事件についても取り上げられています。

「じゅうえんごじっせん」と言えなければ殺された、あの事件ですね。

英語の発音も、受験で重視されなかった世代の人間ですので、私はもうぼろぼろですよ。

詩を読んでいて、ホントに切なくなります。

虐殺は論外ですが、日常的な発音に対するいじめは、国境を越えた無差別爆撃的なもので、難民排斥はさらに冷酷な現実です。

他にプラスチックごみについての詩も書かれています。

問題をブームとしてとらえるのではない、自分ならどう考えるか、として受け止める必要性を、読んでいて感じました。

 

・三木悠莉さん。

先日お話を伺った方です!

 

www.honno-yokomichi.com

 あ、↑の記事の画像は関係ありませんので、念のため。

 

詩を読んでいても、三木さんのお声や息遣いが聞こえてくるようです。

ぜひ、動画をごらんいただきたいですね。検索したらたくさん出てきますので。

『て、わた し第4号』には、詩とエッセイが掲載されてますが、作品にお人柄の強さがちりばめられています。

楽しいことも辛いことも経験されたであろう、ゆえの強さ、優しさ、暖かさ。

元気をもらえる作品です。

 

パスカル・プティさん。

交通事故と性行為という組み合わせが衝撃的で、文脈を受け止めるのが大変でした。

そして、多分、訳者の南川優子さんと私の受け止め方は違っていて、作品内で書かれている「彼」が「交通事故から解放する医師」とは思えず、「彼」=「事故」と私は認識しました。

もちろん、私がDV経験者だからそういう認識をしてしまったのだと思いますが。

 

ヤリタミサコさん。

三木さんとプティさんの作品について、エッセイを書かれています。

私がもやもやと感じていたことをさらに深めて、文芸エッセイにされたという感じですね。

タイトルが「不問という肯定について」なのも、抽出の仕方がかっこいいです。

 

井坂洋子さん。

詩って文学なのだなあ、とあらためて考えさせてくれる詩とエッセイです。

「アリス独走」ってやっぱり素敵です。

 

・ケイレブ・レイ・キャンドリリさん。

一読したとき、詩に書かれる単語の意味が理解できず、訳者である山口さんの解説を読んで、初めて性的マイノリティの方のことを書かれた詩なんだと知り、詩の意味が理解できたように思います。でも自信はない。

山口さんも仰ってるとおり、「胸オペ」=「乳房除去手術」に相当する文学的表現が、日本語にはないように思えます。

ほか、性的マイノリティの方のための三人称や、なんでしょうね、とにかく日本語ってこの件に関しては意識が立ち遅れているということに、私も気づきました。

言葉って、みんなが幸せに生活できるためにあるものだと信じています。

だから、私も意識して言葉を使いたいし、考えていきたいと思いました。

 

 

『て、わた し』はバーコードもつけられていない、いわゆるZINEなのだと思います。

ブログでこうやって記事にしても、どこで手に入るかわからない方も多いのではないでしょうか。

取扱店はこちらだそうです⤵

tewatashibooks.com

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個人的には、結構攻めの作品を多く取り上げられている気がするので、考える材料をいただけて、ありがたいと思っています。

自分の知らない世界を『て、わた し』で多く見せていただき、もちろん詩の教室の存在は大きいのですが、ここ数カ月ですごく視野が広くなった気がします。

本当にありがたい。

これからも応援したいと思います。