『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』を読んで考えた、市場経済と権力者に支配されない生き方とは?
ほんのよこみちです。
『父が娘に語る(なんかやけに長いタイトルの)経済の話。』を読みました(^_^;)
父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。
- 作者: ヤニス・バルファキス,関美和
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2019/03/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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上⤴の画像でも異様に面白いと煽られてますけどね。
異様に面白かったです(^-^;
ギリシャの元財務大臣、ヤニス・バルファキス氏が語る、市場経済の話。
ギリシャ危機の際、EUが提示した緊縮財政案を突っぱねた方ですね。
2019年の春以降、ベストセラーになった本なので、今さら感はありますが。
自分が読んだ時が、自分にとっての旬なんだよ~! それでいいじゃん!
市場経済の歴史が説明されてて面白い!
人類が農耕生活を始めて、作物の余剰品を貯蔵するようになったとき。
そこがまあ、社会の始まりでもあるんですが。
経済と文字もそこから始まったと、この本ではされています。
余剰品の所有者の記録とか、そういうのですね。
その記録を貝殻などに記しておいて、自分の欲しい別の食糧と交換するとか、そういうところから市場が始まった模様です。
というような、太古の人々の暮らしから、年代を追って、産業革命や現代の市場経済、仮想通貨に至るまで、お話は続きます。
壮大な歴史絵巻のようですが、読みやすくわかりやすい文章で続いていくので、どんどん読めてしまいます。
こうして順を追って読んでいくと、市場経済の欠点というか、格差を固定して連鎖させていくための仕組みなんだということが、よくわかります。
そして、銀行が実は無からお金を生み出している、ということも。
からくりとしては、ちょっとびっくりというか、何ごとも無知は支配者を喜ばせるだけ……ということを、感じました( ̄▽ ̄;)
庶民は結構、洗脳されている!
まあこれも歴史の話ではあるんですが。
人類の歴史って、支配者による洗脳の歴史だったんだなあ、と痛感。
支配者たちはどうやって、自分たちのいいように余剰を手に入れながら、庶民に反乱を起こさせずに、権力を維持していたのだろう?
「支配者だけが国を支配する権利を持っている」と、庶民に固く信じさせればいい。自分たちが生きている世界こそが最高なのだという考えを植えつければいい。すべてが運命によって決まっているのだと思わせればいい。庶民の暮らしは、天からの授かりものだと信じさせればいい。天からの授かりものに異を唱えたら、この世がとんでもない混乱に陥ってしまうと思わせればいい。
そう言われてみれば、そうなんですよ。
現代でも「選挙に行ってもどうせ変わらない」と棄権する人、多いじゃないですか。
権力を取りに行く人は、私腹を肥やすことに明け暮れ、庶民は「身の丈」こそが幸せと思わされている。
でも、それが人類の伝統だから……なんてまとめてしまったら、進歩も発展もないですよね。
歴史と、その結果の今を知ることは、未来を生きるためにも重要なんですね。
幸福とは何か?
本書のエピローグ部分が、今を生きる我々の、幸福への道しるべになっていると思われます。
本物の幸福を味わえる可能性のある人生とは、何者かになるプロセスだ。
個人的にこの部分⤴が、すごくぐさぐさと突き刺さりました。
突き刺さり加減は、こちらの記事にあります⤵
我々の望みは、すべてかなうわけではない。
かなわないときに、自分の中で葛藤が起こり、自問自答することがある。
その先に、幸福があるのだ、とヤニス・バルファキス氏は語ります。
なので、ショッピングモールを回ってあれこれ衝動買いすることは、市場社会に自主性を支配されて、買わされているだけだそうです。
ああ、耳が痛い(>_<)
私は服やバッグはそんなに買えないんですが、本だけは、その場の雰囲気で結構買ってしまいます。
後から考えたら「浅かったなあ~」と思う本だって、ないわけじゃない(~_~;)
人を支配するには、物語や迷信に人間を閉じ込めて、その外を見させないようにすればいい。だが一歩か二歩下がって、外側からその世界を見てみると、どれほどそこが不完全でばかばかしいかがわかる。
ということだそうですので、外側から見たツッコミ精神は大事だということですね。
外側から見たツッコミ
本書では、企業が労働者への給与をケチると、労働者の購買力が低下するので、結局は商品が売れなくなる、と説いています。
でも、低所得者層をターゲットにした商品より、富裕層向けの商品を、企業がつくる傾向にないでしょうか。
実は、東京都の起業セミナーに行ったときも、富裕層向けのビジネスをがんがん勧められ、違和感がハンパなかったんですよね~。
理屈はわかるけど、なんか肌に合わない。
市場が低所得者層を締め出してしまったら、社会はどうなるんだろう、とか。
結局、市場も二層化して格差が固定し、どうにもならなくなる……というか。
自分だけは勝ち馬に乗りたい! みたいに活動している人、多いですけどね。
でもさ~、それでいいのか?
ま、富裕層にお金をじゃんじゃん使ってもらって、それを庶民に回せばいいじゃんって考えも、あるかとは思いますが。
でも、それがうまくいかなかったのが、現代日本なんですよね~。
富裕層間でお金が回って、庶民には来ないのだ。
この格差を是正するために、それこそ敗戦みたいなリセットに期待するしかないってのは、情けないですよね。
国民を何万人も殺さないと変われない国って、どうよ?
みんなが幸せ、その方が絶対にいい。
結局は、そういうことを考えたのでした。
ありがとうございました。m(_ _)m