『元史』を読んで考える(1)~目次から読む、歴史とは何か
ほんのよこみちです。
過日、双子のライオン堂さんで開催された読書会に行って以降、漢文熱が再発してしまい、ついに戸棚の奥から引っ張り出して読み始めてしまいました。
嘘。
読もうと頑張っているけど、読み切れていない……というのが事実。
大学生だった約30年前、東洋史ゼミに入り「モンゴル史やりたいで~す!」と気軽に言ったら、先生が買ってきてくれて、引っ込みがつかなくなってしまった『元史』。
年月とともに、しみができたり日焼けしたり、紙もぺらんぺらんだったりするんですが、捨てられずにとっておいたんですよね。
30年の間に7回引っ越しをしているので、何度も処分する機会はあったんですけど。
でも。
捨てなくてよかったよ~。
Amazonで検索しても『元史』って出て来ないんですよ。
当然ひっかかると思ってたので、ちょっと意外というか、まあメジャーじゃないしね、というか。
中国史好きな方でも、征服王朝はちょっと……という方も意外といて。
人間模様、面白いんですけどね~。
ということで、ゆるゆると『元史』を追いかけていきたいと思います。
と言っても、30年近く読んでないので、漢文読解力は絶対落ちてるし、そもそもモンゴル史学会と縁もゆかりもない一個人ですので。
読んで、好き勝手にツッコミする記事……に過ぎませんので、世界史の受験対策にはなりませんし、ましてや論文史料などにはなりません!
ゆるく楽しみつつ、歴史との向き合い方を、考えていければいいかなあ……と思っています。
目次が77ページもあるのに、押しの名前がない‥‥‥
あ、目次というか、目録ですね。
そもそも『元史』は全15巻もあって、その全巻の目次が1巻の最初についているんです。
その一部分が、上の写真ですね。下手ですね~。
選んだページに、私の趣味がもろに出ています。
私のモンゴル帝国人のイチ押しは、フレグとバトゥで……いえ、2人挙げてる時点でイチ押しじゃないやん。
フレグは、元寇でおなじみのクビライ、の弟。
イラン地方を攻めて、フレグ・ウルス(イル・ハン国)をつくった人。
バトゥは、クビライやフレグのいとこで、チンギス・ハーンの第一子であるジョチの子。
ロシアに征西して、ジョチ・ウルス(キプチャック・ハン国)をつくった人ですね。
この、私の押し二人の名前が、『元史』の目録にないという……どういうことやねん?(#^ω^)
なので、彼らのパパの名前が出ているページを、写真におさめていたりします。
ただ、バトゥのパパ・ジョチ(朮赤)に焦点を合わせるあまり、フレグのパパ・トルイ(睿宗 拖雷)がぼやけています、なんてことでしょう。パパ同士は兄弟なのに。
てか、それ以上に、今、このモンゴル人名の漢字を、キーボードで打つ面倒くささよ。
読めないし、音で探してもなかなか出てこないし。
それでも28年前は、まだまだ辞書の文字数が少なくて、どうやっても漢字が見つからなくて、名前部分を空欄にして、後から手で書き込んでいたんですよね~、卒論で(^◇^;)
アナログにもほどがあるというか、中途半端すぎてみっともない……( ̄▽ ̄;)
皇帝の本紀の後に延々と記載されている地理!
当然と言うかなんというか『元史』も皇帝の本紀から始まります。(出版説明、目録の次が 本紀ですね)
太祖チンギス・ハーンから始まって、順弟トゴン・テムルまでの本紀が、まずあり。
次に天文や暦の記述が来て、そののち延々と地理が続きます。
この地理の項目が、本当に多い!
中国って広い……というか当時の領土のデカさが、すごくよくわかります。
そのあと、河川とか祭祀、行政についての記述があって、王族や臣下についての記述は、そのあとになります。
この目録を見ていると、歴史って物語じゃないんだよね~、というのがわかります。
中国の正史と言われるものは、王朝がたおれた後、次の王朝がつくるものなので、『元史』も明の朱元璋がつくらせています。
もともと中国って、簒奪であっても禅譲という建前を重んじる国なので、「私は前皇帝から是非にと望まれて帝位についた」というかたちにしたがるんですね。
なので、かたちだけでも、前王朝を肯定せざるを得なくて。
元はモンゴル帝国なので、朱元璋的には、好きじゃなかったと思われます。
だから『元史』も突貫工事でつくらせて、皇帝の本紀は、元朝で記録されていたものを流用しているようですし、そのほかの人物伝も、結構大雑把に編纂されているらしい。
ま、朱元璋ですからね~。
永楽帝だったら、もう少しましな仕事してたかもしれませんが。
で、そんな状態の『元史』ですが、地理の項目が多いって、やっぱりそれは記録すべきことだと判断したからなのかな、と思うわけです。
自分たちが、これから支配するために。
税法や刑法などの行政項目があるのも、支配者として、押さえておくべき部分だったからなのかな、と。
まだ、その辺を読んでいないので、目録からの推測ですけどね。
大学時代も、人物伝の方ばっかり読んでたしな~。
面白いから。
歴史小説を読むノリで、読めるんですよね、人物伝は。
臣下の誰それがどうした……的なことは、編纂を命じた朱元璋からしてみたら、多分、どうでもいいことだったんでしょうけど。
本命は地理だったのかも。
歴史って、記憶ものとか、ドラマとか、ロマンとかじゃなくて、後世に生きる者のリアリズムだったんですね。
ま、実際に編纂するのは皇帝ではなく部下なので、みんな自分の生命が大切ですから、皇帝に気に入られるように編纂します。
お世辞のてんこ盛りは、日常茶飯事。
そこを引き算しながら読むのが、歴史の楽しさでもありますね。
大きな目標は掲げず、ひとつずつ読んでいこう。
ということで、いつまでも目次を見ていても仕方がないので、ちょこっとずつ、本伝も読んでいきたいと思います。
とは言え、『元史』も読みたいけど、それ以外の本も読みたいし、自分の残りの人生も限られているので、ひとつずつかなあ……とは思っています。
私は今50歳です。
先日70歳の方が「何年後とか先のことを考えないで、一年一年を精一杯頑張っていく」と仰られていたのを聞いて、なるほどと思いました。
だんだん、先のことを考えると苦しくなってくるんですよ。
たとえば、30年後もこの世にいるかどうか、怪しいっていうのは。
30年前ははたちなんで、そのころの自分をきっちり自覚していますからね。
いろいろあったけど、わりとあっという間だった30年。
それより、残りの時間は短いかもしれないんで。
なので、まあ、そのとき読みたいものを読んで、またブログに上げさせていただきます。
ホント、人生は長くも短いので、やりたいことをやりたいと思った時にやったもん勝ちですね。
今日と明日がよい日でありますように。
ありがとうございました。m(_ _)m