ほんのよこみち なブログ

元不登校の高校生と、ひきこもり→就労準備中の子を持つシングルマザーが、このくにで生きることを考えながら、本と好きなことを語ります。

『新聞記者』は、ぜひ今観るべき映画です。

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ほんのよこみちです。

映画『新聞記者』観てきました。

すごく衝撃的で力強い作品でした。

shimbunkisha.jp

 

 

権力はここまで非情なのか

望月衣塑子さんの『新聞記者』を原案としたサスペンス・エンタテインメントということですが、原案本を読んでいても、権力の恐ろしさを目の当たりにすると、ただただ怖かったです。

 

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この映画に対しては、多分、懐疑的な方もいらっしゃると思います。

政権に対する批判目的の宣伝とか、フィクションと現実との区別のついていない狂信者のうわごととか。

私の身近にそういう考えに染まりつつある人間がいるので、特にそう思うのですが。

でも、それは観てから考えて欲しいです。

日本にブラック企業は多々あれど、国こそが最たるブラック組織ではないのかと思ってしまいます。

それを仕方がないと諦めて、良心を殺して、人間性をなくして、使い捨ての駒として、潰されますか?

この映画が語っているのは、そういうことではないかと思います。

フィクション?

でも、観た方は必ず、これはあの事件、これはあの人の事件、と思い当たるはず。

創作物ではありますが、荒唐無稽な物語ではありません。

今、この時代に、この映画をつくる、このこと自体に意味があると思います。

フェイクか否か、ではなく、このように考え、映画をつくった方たちと、それを観て心動かされた多くの人たちの存在こそ、反対派の方たちが考えなければいけないことではないでしょうか。

つまり、フェイクに踊らされている連中の思想矯正を試みるのではなく、自分たちとは違う考えの人間とどう共生するのか、フェイクに飛びつかねばならないほど、彼ら彼女らは追い詰められているのか、ということです。

立場が逆でも同じこと。

反『新聞記者』、反現政権だけでは進歩がないんだよって、『名探偵コナンと平成』で学んだばかりですから。

 

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だから、この映画は観て、考えて欲しいと思います。

 

松坂桃李さんの演技がすごい

この作品の見どころの一つが、松坂桃李さんの演技でしょう。

私は『シンケンジャー』は観ていなかったので、当時の松坂桃李さんはチェックしそこねているんですが。(でもシンケンジャーのお箸はうちにある……)

内閣調査室の外務官僚役という、とても微妙な役どころなのですが、感情表現がすごく細やかで、望月衣塑子さんのツイートどおり、見事な演技でした。

これはもう、松坂桃李さんの演技を観るためだけであっても、観に行く価値あります。

田中哲司さんの上司役も、静かな怖さで迫力がありますし。

高橋和也さんの元上司役も、同世代なので余計に迫ってくるものがあります。

そしてあのラスト。

松坂桃李さん演じる杉原の苦悩が、苦悩が……。

本当に、松坂桃李さんの演技、よかったです。

 

創作物の力

今回、映画を観てあらためて感じたのが、創作物の力です。

望月衣塑子さんの『新聞記者』他の書籍も、面白かったですし、講演会もとても楽しく、望月衣塑子さんそのもののエンターテインメント力もすごく高いのですが。

 

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しかし、フィクションというストーリーを作ったことで、こんなにもわかりやすく、すんなり受け止めやすい表現物になるのか、と、あらためて感じました。

物語の力って、すごい。

ビジネス書はあっという間に読み捨てられる宿命にありますが、創作物は何年でも、何十年でも、生き残るんこともできるんですもんね。

ブログをやる意義って何だろう、と、考えてしまいました。

自分ではいろいろ考えて書いているつもりでも、物語をつくる労力に比べたら、そんなもんちゃらいだろうし、そもそも才能の差がとてつもなくありすぎる。

そして、多分、これが小説だったら、私も読めなかったかもしれない。

それは、主人公の吉岡にも、杉原にも、年齢的に感情移入できなくて、キャリアのなさで同い年の神崎にも感情移入できなくて、ただただ辛くてたまらなかっただろうから。

でも、映画は、問答無用で引きずり込んでくれるので、余計なことを考える暇もなく、堪能できます。

映像という表現方法の力の前には、文字の羅列でしかないテクストの限界も感じます。

だからこそ、ちゃんと考えて考えて、自分がすることは何かを考えていかなきゃいけないんだなって、思うんですね。

私は何者でもなくて、無力で、何かを変えることなんてできないかもしれないけれど、それでも考えて行動する。

ひとりひとりのそういった行動が集まることで、社会はつくられていくんですよね。

 

だから、松坂桃李さん演じる杉原を、守りたいと思いました。

もちろん、シム・ウンギョンさん演じる吉岡も、東都新聞の方たちも、神崎さんご一家も、守りたい。

だから、この記事も書くし、皆さんに観て欲しいと言っちゃうし、出来ることなら何度でも劇場で観たい。

どうかよろしくお願いしますm(_ _)m

 

そして、この映画に関わったすべての方に、感謝します。

ありがとうございます。