吉川英治『三国志』(2)で知る、ブラックな上司からは1800年前の中国人も逃げている!
ほんのよこみちです。
やっと2巻が読み終わりました~!
- ブラックな上司からは、みんなためらいもなく逃げている!
- この世は思い通りにならず、人生は賭けの連続!
- うっかり曹操くんは、うっかりしつつも学んでいる。
- 劉備くんの人の良さは、最強の防護壁かもしれない。
ブラックな上司からは、みんなためらいもなく逃げている!
『三国志』2巻では、ごぜりあいというか、戦争に次ぐ戦争なので、どんどん武将が登場しては、ばっさばっさと死んでいきます。
こういう場合、上司が無能だと、部下はたまりませんよね。
また、上司が私利私欲に走っていたり、部下の扱いが悪かったりすると、こいつのために生命を張れるか? って思っちゃいますよね。
なので結構、兵士の脱走とか裏切りとかが、見えてきます。
主君から粗末に扱われた参謀役が、逃げたりとか。
このままここにいたら殺されてしまう、と思って、みんな逃げるんですね。
中国は広い。
逃げてもどうにかなる余裕があるし、群雄割拠の時代ですから、別の領主を頼るという選択肢もあります。
転職ですね。
隠遁生活に入る人もいます。
晴耕雨読というやつですね。
確かに、転職理由いかんによっては、応募先でばっさり殺されることもありますし、天候不順が起これば、農民は真っ先に飢えて死ぬ羽目になりますけど。
でも、自分が生き延びるためにどうすべきか、そこを考えるからこそ、窮地を救うようなはったりも言えたり、起死回生の奇策も飛び出したりするのかもしれません。
耐え忍ぶだけが美徳じゃない。
島国で、逃げ場のない日本だからこそ、「二君にまみえず」なんてあっさり自決する滅びの美学が生まれちゃったんだよなあ……。
この世は思い通りにならず、人生は賭けの連続!
転職自由の後漢末~三国時代ですから、まあそれこそ人生は賭けの連続ですよね。
悪政を敷く奴が国家権力を握っていて、そいつが諸悪の根源じゃん! って暗殺したら、別のもっとひどい奴が台頭してきて、あっさり殺されちゃうとか。
自分は皇帝を守る忠臣だ! と思っていたら、軍事力持ってる奴らがよそからやってきて、忠臣のポジション奪われるわ、気がついたら逆賊扱いになってるわ……とか。
世の中は、自分の思い通りになんか、ぜんぜんなりません。
次にどうするか、誰と提携し、どれくらいの距離感を保ち、軍事力・経済力をどう支えるか、自己勢力をどう維持・拡大させていくか、常に考え続けないといけません。
多分、現代もそれが突き付けられているんだよなあ……って、昭和の人間は思うのでした。
安心安全安定が生まれたのは、近代民主政治のおかげですよね。
あ、まあ、日本って、民主主義の皮を被った共産主義だったんですけど、バブル期までは。
外交も、アメリカさんに全権委任してるしねえ。
なんだかこの、常に生き死にを背負っているひりひり感というか、経営感覚。
ぬるま湯に慣れた身には、憧れつつも怖いです。
一国一城の主となり、小競り合いの始末をしに城を出たら、留守の間に攻め込まれてて、帰るところがなくなってたよ、部下はみんな逃げちゃったよ、ホームレスになっちゃったよ……ってのが、珍しくないんですよね、三国志の時代は。
まあ、その分、助けてくれる人もいたりするんですが。
背筋が伸びます。
うっかり曹操くんは、うっかりしつつも学んでいる。
以前の記事で、曹操くんはうっかりしすぎ! とか書いてしまいましたが。
勝つときは大勝し、負けるときはうっかり大負けする。
曹操は思わず君付けしたくなるぼど、人間味あふれる人ですね。
彼のすごいところは、自分の欠点も理解して、反省すべきところは反省し、有能な人材を称えることを惜しまず受け入れるところ。
自分がナンバーワンでいたい人ではありますが、部下の言葉をよく聞き入れ、部下の能力に嫉妬しないところ。
だからまあ、人材も集まるし、金も集まるし、ピンチの時も支えてもらえるんでしょうね。怖い人だけど。
劉備くんの人の良さは、最強の防護壁かもしれない。
曹操くんに相対する劉備くんですが、彼の筋金入りの人の良さは、ちょっとすごいです。
私も若いころは「人の良さだけが取り柄の無能な上司」くらいにしか思ってなかったんですけどね、劉備くんに対しては。
関羽や孔明さんや趙雲さんがいなければ、なにもできない人じゃね? みたいな。
甘かったですね。
劉備くんの、この無力ながらも善良であるところ、情に厚い人柄なところは、最強の防護壁でした。
だってもう、みんなが信用しちゃうんですもん、劉備くんのことは。
こいつは裏切らないだろうって。
同盟を組むなら、劉備は信頼できるって。
下手に劉備を殺しちゃうと、民衆の信頼が得られなくなるって。
力なきものは、劉備くんの真似をしてみるべきじゃないですかね。
バブル期のころ、【三国志の諸葛孔明に学ぶ経営術】……みたいな本がわさわさ出ていて、あほくさって思ってたんですが。
でもね~。
『三国志』から学べることって、ホント多いですよ。
曹操くんも劉備くんも、ホント良い【生き方のお手本】になります。
両極端な2人だからこそ、読んでいて面白いです。
曹操くん、割かし怖いキャラなんですが、それでもどこぞの宰相より器がでかいんですよねえ。
哀しいけれど。
ということで『三国志』はハマるとすごく面白いので、ゲームしか知らない人にも、ぜひ手に取っていただきたいなと思うのでした。
中国人の名前とか地名とか、おんなじようなのばっかりでわかんね~! というご意見は私も同感なのですが。
苗字おんなじでも赤の他人とか、かと思えば親せきだったりとか。
ときに「この地名は誤植では? でないとつじつまが合わないんですけど!」という現象に遭遇したりもしましたけど。
まあ、そこのところはおおらかに。
今、出回っている版なら、訂正されているかもしれませんし。
私の持っている吉川英治『三国志(2)』は、昭和60年5月27日の12刷ですからね~。
35年も経っていますから。
もうすぐ【三国志展】もありますので、この機にいかがですか?
私もこれに行きたくて、復習しているところです^^;
さあ、次は(3)だっ♬
ご一読いただきありがとうございましたm(_ _)m