ほんのよこみち なブログ

元不登校の高校生と、ひきこもり→就労準備中の子を持つシングルマザーが、このくにで生きることを考えながら、本と好きなことを語ります。

吉川英治『三国志』(2)で知る、ブラックな上司からは1800年前の中国人も逃げている!

 ほんのよこみちです。

あいかわらず、吉川英治氏の『三国志』を読んでます。

やっと2巻が読み終わりました~!

 

三国志 (2) (吉川英治歴史時代文庫 34)

三国志 (2) (吉川英治歴史時代文庫 34)

 

 

 

ブラックな上司からは、みんなためらいもなく逃げている!

三国志』2巻では、ごぜりあいというか、戦争に次ぐ戦争なので、どんどん武将が登場しては、ばっさばっさと死んでいきます。

こういう場合、上司が無能だと、部下はたまりませんよね。

また、上司が私利私欲に走っていたり、部下の扱いが悪かったりすると、こいつのために生命を張れるか? って思っちゃいますよね。

なので結構、兵士の脱走とか裏切りとかが、見えてきます。

主君から粗末に扱われた参謀役が、逃げたりとか。

このままここにいたら殺されてしまう、と思って、みんな逃げるんですね。

中国は広い。

逃げてもどうにかなる余裕があるし、群雄割拠の時代ですから、別の領主を頼るという選択肢もあります。

転職ですね。

隠遁生活に入る人もいます。

晴耕雨読というやつですね。

確かに、転職理由いかんによっては、応募先でばっさり殺されることもありますし、天候不順が起これば、農民は真っ先に飢えて死ぬ羽目になりますけど。

でも、自分が生き延びるためにどうすべきか、そこを考えるからこそ、窮地を救うようなはったりも言えたり、起死回生の奇策も飛び出したりするのかもしれません。

耐え忍ぶだけが美徳じゃない。

島国で、逃げ場のない日本だからこそ、「二君にまみえず」なんてあっさり自決する滅びの美学が生まれちゃったんだよなあ……。

 

この世は思い通りにならず、人生は賭けの連続!

転職自由の後漢末~三国時代ですから、まあそれこそ人生は賭けの連続ですよね。

悪政を敷く奴が国家権力を握っていて、そいつが諸悪の根源じゃん! って暗殺したら、別のもっとひどい奴が台頭してきて、あっさり殺されちゃうとか。

自分は皇帝を守る忠臣だ! と思っていたら、軍事力持ってる奴らがよそからやってきて、忠臣のポジション奪われるわ、気がついたら逆賊扱いになってるわ……とか。

世の中は、自分の思い通りになんか、ぜんぜんなりません。

次にどうするか、誰と提携し、どれくらいの距離感を保ち、軍事力・経済力をどう支えるか、自己勢力をどう維持・拡大させていくか、常に考え続けないといけません。

多分、現代もそれが突き付けられているんだよなあ……って、昭和の人間は思うのでした。

安心安全安定が生まれたのは、近代民主政治のおかげですよね。

あ、まあ、日本って、民主主義の皮を被った共産主義だったんですけど、バブル期までは。

外交も、アメリカさんに全権委任してるしねえ。

なんだかこの、常に生き死にを背負っているひりひり感というか、経営感覚。

ぬるま湯に慣れた身には、憧れつつも怖いです。

一国一城の主となり、小競り合いの始末をしに城を出たら、留守の間に攻め込まれてて、帰るところがなくなってたよ、部下はみんな逃げちゃったよ、ホームレスになっちゃったよ……ってのが、珍しくないんですよね、三国志の時代は。

まあ、その分、助けてくれる人もいたりするんですが。

背筋が伸びます。

 

うっかり曹操くんは、うっかりしつつも学んでいる。

以前の記事で、曹操くんはうっかりしすぎ! とか書いてしまいましたが。

 

www.honno-yokomichi.com

 

勝つときは大勝し、負けるときはうっかり大負けする。

曹操は思わず君付けしたくなるぼど、人間味あふれる人ですね。

彼のすごいところは、自分の欠点も理解して、反省すべきところは反省し、有能な人材を称えることを惜しまず受け入れるところ。

自分がナンバーワンでいたい人ではありますが、部下の言葉をよく聞き入れ、部下の能力に嫉妬しないところ。

だからまあ、人材も集まるし、金も集まるし、ピンチの時も支えてもらえるんでしょうね。怖い人だけど。

 

劉備くんの人の良さは、最強の防護壁かもしれない。

曹操くんに相対する劉備くんですが、彼の筋金入りの人の良さは、ちょっとすごいです。

私も若いころは「人の良さだけが取り柄の無能な上司」くらいにしか思ってなかったんですけどね、劉備くんに対しては。

関羽孔明さんや趙雲さんがいなければ、なにもできない人じゃね? みたいな。

甘かったですね。

劉備くんの、この無力ながらも善良であるところ、情に厚い人柄なところは、最強の防護壁でした。

だってもう、みんなが信用しちゃうんですもん、劉備くんのことは。

こいつは裏切らないだろうって。

同盟を組むなら、劉備は信頼できるって。

下手に劉備を殺しちゃうと、民衆の信頼が得られなくなるって。

力なきものは、劉備くんの真似をしてみるべきじゃないですかね。

 

バブル期のころ、【三国志諸葛孔明に学ぶ経営術】……みたいな本がわさわさ出ていて、あほくさって思ってたんですが。

でもね~。

三国志』から学べることって、ホント多いですよ。

曹操くんも劉備くんも、ホント良い【生き方のお手本】になります。

両極端な2人だからこそ、読んでいて面白いです。

曹操くん、割かし怖いキャラなんですが、それでもどこぞの宰相より器がでかいんですよねえ。

哀しいけれど。

 

ということで『三国志』はハマるとすごく面白いので、ゲームしか知らない人にも、ぜひ手に取っていただきたいなと思うのでした。

中国人の名前とか地名とか、おんなじようなのばっかりでわかんね~! というご意見は私も同感なのですが。

苗字おんなじでも赤の他人とか、かと思えば親せきだったりとか。

ときに「この地名は誤植では? でないとつじつまが合わないんですけど!」という現象に遭遇したりもしましたけど。

まあ、そこのところはおおらかに。

今、出回っている版なら、訂正されているかもしれませんし。

私の持っている吉川英治三国志(2)』は、昭和60年5月27日の12刷ですからね~。

 

35年も経っていますから。

 

もうすぐ【三国志展】もありますので、この機にいかがですか?

sangokushi2019.exhibit.jp

私もこれに行きたくて、復習しているところです^^;

さあ、次は(3)だっ♬

 

ご一読いただきありがとうございましたm(_ _)m