吉川英治『三国志』(4)に読む、安定政権による曹操の陰りと、劉備の優柔不断というヘタレ加減。
ほんのよこみちです。
怒濤の如く読んでいたはずなのに、ペースダウン気味の『三国志』も4巻になりました。
やっと半分。
今回もネタバレ踏みつつ、感想を書かせていただきます。
曹操は官渡の戦いまでの人だったかなあ
いわゆる官渡の戦いですね。
この頃まで、ホント名宰相であり名大将だったんですよ、曹操くんは。
「予の立つ大地には、一人の餓死もさせぬぞ」っつって、戦いのさなか、流民と化した民衆が食べられるようにしたり。
他にも、これぞ名セリフ! な発言をたくさんしてくれているので、ノートにじゃかじゃかメモってるんですよ。
もう、惚れた! 曹操くん、キミに決めた! って感じで(^_^;)
なのになあ。
勝って、華北に強敵がいなくなると、たちまちリーダーとしての人格に陰りが出てくるんだもん。
諫言してくれる部下の言葉を、ついこの前まで喜んで聞いていたのに、讒言に惑わされて、処断してしまうし。
人間って、どんなに有能であっても、安定政権を得たら慢心してしまうものなんだなあ。
これはまあ、歴史が証明している人間の弱さなのですが。
残念、曹操くん。
劉備は、凡庸という言葉ではすませられない、優柔不断なヘタレ
劉備って、凡庸だけど有能な部下を使いこなせた人、みたいに思い込んでいました。
でもさ~、一応、トップなんだよ、キミは。
曹操に追われ、部下ともはぐれ、あちこちでお客さんとしてかくまってもらったり……っていうのをよくやりますけどね、キミは。
この期に及んで、ちょっとまったりしすぎじゃないですかね?
皆がいないからできない、とか、誰それさんには恩義があるからできない、とか、できない理由ばっかりを探して、結局なにもしないで、困った困った言ってるだけのヘタレじゃねえかよ、キミは。
それで、一軍の将としての立場を放棄するんならいいよ。
自分ひとりのことだけなら、いくらでもうだうだ言ってなさい。
でもさ~、部下の命を預かる立場の人間がそれじゃ、百害あって一利なしじゃんか。
すみません、つい、興奮してしまいました。
ただ、こんな劉備につき従う部下がかわいそうでさ~、趙雲とか。
確かに劉備はいい人かもしれないけど、実は他者が怖いだけの臆病者だし、いい人でいたいだけの人だし、こんな莫迦にどこまでつきあうんだようって思ってしまうのさ。
歯がゆい。
キミはせいぜい地方行政官の器なのだよ。
孔明先生を持ち上げすぎ!
この巻で、やっとこさ諸葛孔明、登場です!
でもさ~吉川先生、孔明先生を持ち上げすぎじゃないですか?
『三国志演義』は確かに後世の書物ですから、孔明ってすごい奴っていう基礎知識がある前提で書かれているわけですけどね。
でも、たかだか頭のいい書生という程度で、しかも一度も戦場に出たことがない、実績のない若造ですよ。
しょっぱなからこんなに飛ばしますかね。
なんつうか、歴史小説なんかで、すごく重要人物みたいに描かれてるんだけど、実際は大したことやってない奴、いるんですよね。
そういう匂いがぷんぷんしてくるような扱い加減というのが、孔明先生を嘘くさくしてしまうのが嫌~。
なんて、若い頃は思わなかったんですけどね。
年を取ったってことですかね。
どんなに有能でも、20代で実績なしだと、絶対内心びくびくしてるだろうとか、焦ってフライング的なのやっちゃうとか、人間・諸葛亮を想像してしまうのですよ。
そんな、若者に落ち着き払われてたまるもんか、中高年の立場ないじゃんか、というのが本音(;^_^A
だから、初陣の前にあんましハードル上げてやんなよ……って、思っちゃうのです。
まあ、失敗即死だから、ハードルは最初っからMAXまでに高いんですけどね。
でも、劉備のふがいなさを補填して、さらに盛り上げるための演出でもあるように思えるので、若造にそこまで押し付けんなって。
まとめ
『三国志』も折り返し地点まで来まして、つくづく思いました。
物事には時期があり、来たチャンスをつかみ損ねると、取り返しのつかない、二度と這い上がれない状況に簡単になる、と。
劉備はスタート時点ですでに出遅れ状態でしたが、一度は這い上がったのに、ラクな方に逃げちゃったばっかりに、なんかもうどうにもならなくなってるんだよなあ。
これは、若い人たちにぜひ意識して欲しいことですね。
まじめに頑張っていればなんとかなるかも……って、人生食いつぶしていたら、どうにもならなくなるよって。
私も、まさか12年もパートタイマーしてるなんて思わなかったですけど、目の前のことをやってたら、40代終わっちゃったもんなあ。
私も劉備に偉そうなことを言えないほどの、小心者ですけど、逃げ口上を探さない人間にはなりたいと思います。
もう人生の夕方ですからね。残り時間の方が少ない。
やりたいことを、どんどんやっていきます。
ということで、次巻は赤壁の戦いです。
劉備軍、最大の見せ場ですね。
さあ、ツッコミ入れつつ読むぞ~(^^;)
ありがとうございました。m(_ _)m