『i-新聞記者ドキュメント』を観て考える、政治権力と自由と人権と、分断の歴史。
ほんのよこみちです。
東京新聞の望月衣塑子さんの『iー新聞記者ドキュメント』、観てきました。
これは、映画『新聞記者』の原作ドキュメント映画……だと思います。
ノンフィクションならではの緊迫感といいますか、現実の気持ち悪さ、怖さ、ジャーナリズムとは何か、社会が分断する恐ろしさなど、望月衣塑子さんと森達也監督の見た事実が、映し出されていました。
カメラに酔う。
私は乗り物酔いしやすい質ですが、この映画を観始めてすぐに、酔いました。
まあそれでも、2時間が耐えられないというレベルではなかったのですが。
ドキュメント映画ならではの、カメラ視点の動く感じが、きつかったです。
酔い止めを飲んでいけばよかったかな……と、ちと思いました。
うちの下の子は『カメラを止めるな』でも酔ったので、映像表現として、苦手な人がいるのは事実かもしれません。
でも、辺野古の埋め立て地周辺の映像など、ここでしか見られないものも多々あり、それは酔ってても見るべきものだと思いました。
現地に行って、現地の人の話を聞く重要性。
望月さんは、辺野古の海にも行き、宮古島にも行き、現地を見て、現地の人たちと話をされています。
赤土にしか見えない埋め立て用の土。ヘドロになる赤土。
弾薬庫が集落のすぐそばにあり、ジェット燃料の給油所もある。
現地の人たちの、不安、怒り、そして諦め……。
本土にいたのでは見えない、現実ですよね。
一部の方が言われるような、バイト代をもらって反対している人……には、とても見えません。
望月さんは、籠池夫妻にもインタビューをされています。
この夫妻、強烈なキャラクターでワイドショーを賑わせてくれましたが。
でも、こうして見てみると、思想が古くて、かなり押しの強い人たちかもしれないけど、まあその辺のおっちゃんおばちゃんと変わんないんですよね。
政権とつながって、上手いことやってやろうって思ってる連中、他にもぎょうさんいてますしね……って、籠池夫妻について書こうとすると、方言が出るな。
真正保守だという籠池氏の教育方針には、賛同できないですけど、憎めないというか。
近い距離で話を聞くというのは、その人と、人として相対するというか、自分が人としての一線を越えないようにするために、必要なことかもしれない……と、感じました。
この国で生きるというのは、どういうことなのか。
望月さんの取材活動を見ていると、この国で生きるというのはどういうことなのか、すごく考えさせられます。
海外のジャーナリストの方たちが言われるように、はたして我々は外交問題を我が事として考えているだろうか。
民主国家であれば当たり前のジャーナリズムが、この国にあるだろうか。
既成事実ができてしまえば、諸問題は解決済みとされる政治。
忖度をしてしまえば、すべて了承済みとされる政治。
我々は、官房長官と戦う望月さんを見て、ただ応援しているだけでいいのか。
映画を観るように、望月さんの活動を消費してしまっていていいのか。
ひとりひとりが、考えること。
嫌なことは嫌だと言うこと。
他者と話し合うこと。
そういうことをやっていかなきゃ、いけないんですね。
森達也監督の意見。
映画の最後に、森達也監督の意見が表現されています。
分断が何を生むのか。
歴史から何を学ぶのか。
みんなが言っていることじゃなくて、自分はどう考えるのか。
私の観た回では、観客のほとんどが中高年以上で、高齢者の多さが異様でした。
でもホントは、若い方にも観て欲しい映画です。
私は50年後、この世にいませんから。
未来のある人たちに、観て、考えて、行動してもらいたい。
よろしくお願いします。m(_ _)m