ほんのよこみち なブログ

元不登校の高校生と、ひきこもり→就労準備中の子を持つシングルマザーが、このくにで生きることを考えながら、本と好きなことを語ります。

アボガド6さんの『剥製』他、作品集は、芸術だと思いました。

ほんのよこみちです。

下の子が好きで買っている、アボガド6さんの『剥製』を読みました。

 

剥製 (KITORA)

剥製 (KITORA)

 

 Twitterのフォロワー数が100万を超えている方なので、今さら書くことではないかもしれませんが。

すごい絵描きさんです。

この本は、短編マンガをはさんで、イラスト集となっています。

ですが、イラストというか、芸術作品だと思います。

 

 

若者の心の傷付きを表現されている、そんな作品集を自分の子が好きで買ってる……というのは、親としては少々、いや、かなり複雑ですけどね(^_^;)

でも、実は、私自身もアボガド6さんの画風は好きになっちゃったので、まあ、なんとも言えないですよね~。

著作権侵害はしたくないので、表紙のリンクを貼ることしかできませんが、作風としては、エッシャーを彷彿とさせるようなものです。

ところどころ、リスペクトされてるのかな? と思わせる作品もありまして。

ひょっとして、昨年のエッシャー展がすごい人出だったのって、アボガド6さんの影響もあった? とか思ったりして。

 

www.honno-yokomichi.com

 

『剥製』のほか『果実』という画集もあり、こちらも訴えかけてくるものがあります。

 

果実 (KITORA)

果実 (KITORA)

 

 

また、マンガも描かれていて、初書籍の『空っぽのやつでいっぱい』は構成力がすごい!

 

空っぽのやつでいっぱい (KITORA)

空っぽのやつでいっぱい (KITORA)

 

 事故で家族を失った少年と、孤独で満たされない心を抱えた少女の人生が、複雑に絡み合う連作短編集なんですけどね。

その絡み合い方が、「少年と少女が出会いました」なんて単純なものじゃなくて。

少女の友人も絡めて、人間の心の弱さを描きながら、これでもか! と物語を描き続けていき、かつ作品全体が破綻しないで美しくまとまっている!

面白かったです。

 

 

 もう一つのマンガ、『やさしさいっぱいの土の上で』。

 

やさしさいっぱいの土の上で (KITORA)

やさしさいっぱいの土の上で (KITORA)

 

こちらは長編SFですね。

タイトルのとおり、やさしい物語です。

人間とロボットとの心の交流を描いたマンガ……と言ってしまえばそうなのですが。

はらはらしつつも癒される、そんなマンガです。

 

 

ということで、既刊4冊を駆け足で紹介させていただきました。

個人的には、ネタバレになってしまうんですけど、『剥製』のラストのマンガがすごく印象的でした。

それは、

 

そうだ

きれいだと思った景色

悲しいと思った心象

僕を表す純粋な感情

全てキャンバスに描いてきたじゃないか

 

という独白部分ですね。

ここには作者=アーティストの心情があらわれているようで、詩というものに迷っている私にも、深く突き刺さってきました。

 

 

これがビジネスなら話は変わるかもしれませんが、趣味でやりたいからやっているものについては、自分の気持ちに素直であればいい。

そう、1円にもならないことを、やりたいからやっている。

やらずに死んでいくのは嫌だから、自己満足のためだけに、やっている。

だったらもう、人からどう思われるかとか、年齢とか、そんなのどうだっていいじゃないか。

目的は、死ぬときに「結構やりたいことやった人生だったよな」って自己満足すること。

「次はあれをやりたかったけど、まあ仕方ないか、これだけやったんだから」って、納得して死ぬこと。

後悔だけは、したくないから。

 

 

アボガド6さんの作品は、本当に素敵で大好きです。

……ちょっと怖い部分もありますけどね。

太宰治とか好きな方なら、いけるんじゃないかと思うんですけどね~。