『銀河英雄伝説 Die Neue These 星乱』第一章を観て考えた、生きる権利と時間のこと。
ほんのよこみちです。
映画『銀河英雄伝説 Die Neue These 星乱』第一章を観てきました!
これは、2018年4月期のアニメの続編……です。
でも冒頭で、これまでのあらすじをちゃんとやってくれてるので、初見の方でも大丈夫だと思います。
ただ、12話までで終わったTVシリーズの、13話~16話なので、映画としての構成は、ちょっと微妙かもしれません。
正直、観ながら「どこで終わるの?」と、ずっと気にかかっていました。
本来、クライマックスとして持ってくるべきアムリッツァ戦が、どうしても冒頭に来ざるを得ないし。
まあ、仕方ないですね。
長いストーリーなので、宇宙歴801年7月27日まで、続けていただきましょう。
物語としましては。
銀河が、銀河帝国と自由惑星同盟の二つの陣営に分かれている未来。
互いに150年にも渡る戦いを続ける中、皇帝に姉を奪われた少年ラインハルトが、姉を取り返すために、軍人として出世していく。
かたや、自由惑星同盟に生まれて、歴史家を志望しつつも軍人になってしまったヤン・ウェンリー。
この二人の戦いを軸に、物語は悪魔の手によって紡がれていきます。
今、この瞬間を生きている幸福は、かけがえのないもの。
スクリーンを観ながら、ときどき胸がいっぱいになってきたのは、原作全巻読んでるからで、作者が悪魔のようにキャラクターをばかすか殺していくのを、知っているからなんですね。。
戦争ってそういうものだよ、ということなんですが。
ちょっとした平和な描写を見るだけで、涙が出そうになります。
誰がどこで死ぬかとか、今後どう苦しむかとか……ああ、辛い。
でも、生きるってそういうことなんですよね。
我々は、自分がいつ、どこで死ぬかを、知りません。
だから毎日何気なく過ごせるし、幸せを感じることもできる。
それでも、必ず死ぬし、その日は確実に一歩一歩近づいてきている。
必ず、目覚めない日、この世界に戻ってこれない瞬間が来る。
考え始めると、やっぱり怖いです。
でも、だからこそ、今の一瞬を、全身全霊で味わってほしい!
映画の中のキャラクターたちに、そう祈ってました。
人生は過程じゃなくて結果だ、っていう意見もあって、確かにそれもそうなんですけど。
でも、最後は結果を出せずに終わるんですよ、死という挫折からは逃れられなくて。
なので、効率よく結果を出す方法を取ることで、得られる幸せもあるでしょうが、過程を楽しむ方法も、あると思います。
要は、そのバランスが、自分にとって良いものであればいい。
幸せは、人それぞれですからね。
などということを、映画を観終わってから考えておりました。
どんなに卑怯な失敗をやらかしても、生きる権利はある。
星乱第一章の中で、ラインハルトが言う台詞があります。
「お前のような卑怯者に生きる価値はない」と。(ちょっと正確ではないかもしれませんが……)
この台詞、かなりドキッとしましたね。
いえ、あの場面でこの台詞が出てくることは、わかってはいたんですが。
ラインハルト役の宮野真守さんの迫力も、手伝って。
言われた方は、軍人のくせに民間人をほっぽって、自分たちだけ逃げようとした、下衆野郎ではありますが。
それでも。
こいつにも一応、生きる権利ってあるんじゃないかい? と。
人間は、失敗をする生き物です。
だからこそ、内省して、再チャレンジする権利はあります。
それが、基本的人権です。
ラインハルトは、上記のように、他者の生きる権利を否定しました。
それは相手との間に、支配者/被支配者の関係をつくることになります。
専制君主制ならではの発送ですね。
まあ、現代日本にも、そういう考えの人がいないわけではありませんが。
人権意識の低さ……を感じてしまいます。
そもそも、他者を非難したラインハルトだって、同盟軍の遠征に際して、辺境惑星の民衆から根こそぎ食糧を奪い取って、軍を撤退させて、放置しましたからね。
民間人をほっぽって逃げ出した……と同じではありませんかね。
食料をすべて帝国軍に持っていかれて、飢えた人って絶対いると思う。
特に、赤ん坊や老人や病人などは。
自らの勝利のために、民間人を利用した下衆野郎ではありませんかね。
同じ穴の狢……。
市民の生命と財産を守る。
民主主義国家なら当たり前の概念こそが、戦争を回避する道なんだなあと、思い当たりました。
国のトップが、市民の生命や財産を疎かにしたら、次の選挙で負けますよね。
……と思っていたんですけど、この国ならそれでもあっさり当選しそうですね。
普通の民主国家は、市民の生命を無下にしたりしたら、抗議活動が起こったりして、再選が危うくなるので、そうならないような政治を心掛けるようです。
だから、市民の安全を考える以上、核は抑止力であり続ける、というような。
報復攻撃を考えたら、絶対に使えない、と、民主国家のリーダーは考えるけれど、独裁国家の指導者にとっては、市民の生命が安いから、何をするかわからない。
独裁体制が増殖しつつある今日の世界は、とても不安定な世界ということですね。
というようなことを、映画を観た後、ずっと考えていました。
『銀河英雄伝説』は、いろいろ考える材料として面白い素材なので、昭和の原作と割り切った上で、若い人たちにもお勧めしたいと思っています。
もちろん、この映画は今の作品ですし、艦隊戦の映像などは、すごく綺麗です。
白人と東洋人の描き分けが微妙……ではありますけど、みんな魅力的なキャラクターにデザインされてます。
人数多い分、声優さんたちも豊富♬
この子たちが銀河を駆け抜けていく様を、見届けたいと思います。
よろしくお願いします。m(_ _)m